<いのち>の授業 

親と語り合う 01

出前授業で高牟礼中に行って。
秋吉 伶美
 出前授業で、私たちの班は高牟礼中に行きました。
 高牟礼中に着いて、まず校長室に案内されました。そこでみんな挨拶をして発表をするホールに案内されました。そこで最終調整をし、いよいよ本番です。約一週間、みんなで朝早くから、放課後遅くまで頑張って作ったプレゼンテーションで発表しながら、文を読み、レーザーを各ポイントに当て、みんなで精一杯頑張りました。そして、発表は無事成功に終わりました。
 その後は保護者の方々からの質疑応答です。どんな質問があるのか不安と緊張がありました。その中で色々な質問をされて、答えるのに苦労する質問が幾つもありました。
その中でも私が1番印象深かった質問は、【家族】に関する質問で、『この解体について家族とはどんな話をしましたか?』という質問でした。
 私の家は母子家庭で、下に妹が1人いる3人家族です。
私は高校に入ってバイトを始めました。私達の生活の為に夜、仕事をしているお母さんは、私がバイトを終えて家に着いたときにはもう仕事に出かけた後です。
お母さんとはすれ違いばかりで話す機会が減りました。朝は疲れているから寝ていて、あまり会いません。私は学校へ行き、バイトがある日は学校が終わるとそのままバイトへ行くという毎日が続きました。バイトが休みの日でも遅くまで学校に居たり、家に帰ってもあまり部屋から出なかったりで、顔を合わす機会を自ら、減らしてしまいました。 そんな中、ニワトリの解体実習が近づいてきました。そのとき私は、友達とのいざこざがあったり、バイトで失敗したりで、不安が募る毎日でした。昔は、友達と喧嘩したりしたときはお母さんに話したりして、落ち着いたりしてたけど、顔を会わす機会が減った今では、そんな事はまったく無くなりました。そして、解体当日。いつもと変わらない朝。私は学校へ来ました。しかし、学校はいつもと同じようにはいきませんでした。
みんなピリピリしていて、いてもたってもいられない状態でした。そして解体は無事に終わり、帰るときに、自分の解体した鶏の肉を一部分だけ持って帰りました。私は家に帰るとお母さんに今日の事を話したくてたまりませんでした。でもなかなか話す機会がなく、やっと言えた言葉は、「今日解体した鶏肉、冷蔵庫に入れとくけん。」という一言です。そして、解体実習がテレビで放映されるときいたときは私は「絶対お母さんに見てもらいたい!」と思いました。1回目は見れなかったらしいけど、ビデオに撮ったのを見たと聞きました。私はそれを聞いてとても嬉しかったです。2回目はなんと一緒に見ることができたんです。最初は見られるなんて恥ずかしかったけど、自分がしてきたことを知ってもらえると思うと、嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。いよいよ当日!私とお母さんは二人でリビングに並んでテレビを見ました。その時の一時間はとても長く感じました。見ている途中、当日の事を思い出し、泣きだした私をお母さんは肩をぽんぽんと叩き、無言で慰めてくれました。私は母の優しさが嬉しくて涙を流してしまいました。
 それからは、バイト前は家に一度帰り、お母さんとほんの少しの会話をして、バイトへ行くようにし、休みの日は、なるべく家に帰るようにしました。それからは親子の会話が増えました。
 解体実習を体験したからこそ、戻った親子の絆です。
命を捧げてくれた鶏達に感謝します!!
〜ありがとう〜
 希望を!